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相続は“法律”だけでは解決できない?│感情と権利の間にあるリアルな課題│高槻市の行政書士が解説します

「相続のことは法律で決まっているから、もめるはずがない」──
そう考えている方も少なくありません。
しかし、実際に現場で相続の相談を受けていると、“法律通りに分けるだけでは解決しない”ケースが多くあります。

なぜなら、相続は法律問題であると同時に、“家族の感情問題”でもあるからです。

今回は、高槻市で民事業務を専門に扱う行政書士として、
「感情と権利のはざまで起きる相続のリアルな課題」についてお伝えします。


1. 相続は“正しさ”より“納得”が求められる

相続トラブルの多くは、「法律的には正しいけれど、気持ちが納得できない」という状態から生まれます。

たとえば、

  • 「介護をした兄が多くもらうのは当然だ」と思う人もいれば、
  • 「平等に分けるべき」と感じる人もいる。

どちらも間違いではありません。
しかし、法的な“公平”と家族が感じる“感情的な公平”は一致しないのです。

行政書士として実感するのは、
「正しい手続き」だけではなく、「家族が納得できるプロセス」こそが大切だということです。


2. “感情のズレ”が生まれる3つの典型パターン

相続では、次のようなケースで家族の気持ちがすれ違いやすくなります。


① 介護・同居をしていた子どもがいる場合

介護を担った側は「自分の苦労を分かってほしい」と思い、
離れていた兄弟は「平等に分けるのが筋」と考えます。
その差が、「寄与分」や「不公平感」をめぐる争いのもとになります。


② 親の財産や気持ちが伝わっていない場合

「お父さんは長男に家を継いでほしかった」「お母さんは平等にと言っていた」など、
親の真意が不明確だと、兄弟間で“解釈の違い”が起きます。
遺言書がない場合、このズレが大きな対立に発展することもあります。


③ 家族の関係が希薄になっている場合

近年は、親と子、兄弟姉妹が遠く離れて暮らしているケースも多く、
「久しぶりに顔を合わせたのが遺産分割の話」ということも。
長年のわだかまりや誤解が、このタイミングで噴き出すことがあります。


3. 法律で決まっていても「気持ち」は解決しない理由

法律上の相続分はあくまで“基準”です。
ですが、それをどう受け止めるかは人それぞれの人生や家族関係によって違うもの。

行政書士として関わってきた中で感じるのは、
「感情の整理ができていないまま法的手続きを進めると、
結果は正しくても、関係は壊れてしまう」という現実です。

つまり、相続の本質は“分け方”よりも、“どう話し合うか”にあります。


4. 感情と権利のバランスをとる3つのポイント

法律と感情のバランスを取るために、次の3つを意識してみてください。


① 「話す場」を設ける

相続は、話し合わないほど誤解が深まります。
早い段階で家族会議を開き、親の意向やそれぞれの考えを共有しておきましょう。


② 親の意思を“見える化”する

「遺言書」や「エンディングノート」を作成することで、
親の考えを明確に残すことができます。
行政書士が内容整理をお手伝いすることで、家族全員が納得しやすい形に整えられます。


③ 第三者を交える

感情が絡む話し合いでは、当事者だけで解決するのが難しい場合も。
中立的な専門家が入ることで、冷静で客観的な整理が可能になります。


5. 高槻市の実例:家族が“納得”で終えた相続

高槻市で実際にご相談を受けたご家庭では、
3人兄弟のうち長男が親の介護を担い、次男・長女は遠方に住んでいました。

当初は「不公平では?」という声もありましたが、
介護の経緯を共有し、親の希望を踏まえた遺産分割協議書を作成。
結果、兄弟全員が納得のうえで手続きを完了し、関係を保つことができました。

このケースの鍵は、「手続きの前に“気持ちの整理”をしたこと」です。


6. まとめ:相続は“法”と“想い”の両輪で考える

相続は、単なる財産分配ではありません。
家族の歴史と感情が交錯する“人生の節目”です。

法律だけに頼らず、想いを言葉にし、記録に残し、
家族全員が納得できる形を目指すことが、
“揉めない相続”の第一歩になります。


事務所名:乾行政書士事務所
代表者:乾 公憲
住所:大阪府高槻市上牧北駅前町4番50号
📌 対応エリア:茨木市、高槻市、枚方市、交野市、吹田市、摂津市、箕面市、寝屋川市
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ごあいさつ

私は、障がい福祉サービスに特化した行政書士として、これまで多くの事業者様の立ち上げ・運営支援に携わってまいりました。高齢者や障がいのある方、そのご家族が安心して暮らせる地域づくりを支援することを使命とし、制度理解から各種申請、運営の課題まで、丁寧かつ実務的にサポートしております。

このたび、より幅広いニーズにお応えするため、遺言・相続・死後事務委任契約・成年後見制度の利用支援など、民事法務の取り扱いも開始いたしました。とくに、福祉の現場に近い立場で業務を行ってきた強みを活かし、ご本人の思いやご家族の不安に寄り添った法的支援を心がけております。

障がい福祉と民事業務の両面から、「支援が必要な方々の権利と暮らしを守る」ことを目指し、地域に根ざした専門家として真摯に取り組んでまいります。どうぞお気軽にご相談ください。

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