親の家を相続したものの、「誰も住んでいない」「売るのも貸すのも迷っている」という方は少なくありません。
実はこの「親の家」こそ、放置してしまうと負債にも資産にもなりうる大切な存在です。
今回は、高槻市で民事業務を専門に扱う行政書士の立場から、
「空き家をどう管理し、どう“資産”に変えていくか」について解説します。
1. 親の家が“空き家”になる理由と現実
相続をきっかけに「実家が空き家になった」というケースは年々増えています。
背景には次のような理由があります。
- 親が施設に入所し、自宅が空いたままになった
- 相続人が遠方に住んでおり、誰も住む予定がない
- 家の老朽化や立地の問題で活用しにくい
総務省の調査では、日本の空き家率は約14%(全国平均)に達し、今後も増加が見込まれています。
高槻市内でも、「使わないまま放置された実家」が問題化しつつあります。
2. 放置したままの空き家が抱えるリスク
「そのままにしておいても問題ない」と思っていませんか?
実は、空き家を放置することで次のようなリスクが生じます。
● 固定資産税の負担
空き家でも土地・建物には税金がかかります。
特に建物が老朽化すると「特定空家等」に指定され、固定資産税の優遇が解除される可能性もあります。
● 管理不全によるトラブル
草木の繁茂・害虫の発生・雨漏り・不法侵入など、近隣トラブルに発展することがあります。
● 相続人間の意見の対立
「売る」「貸す」「残す」など、兄弟姉妹で意見が割れることも多く、
放置するほど調整が難しくなります。
3. 空き家を“資産”に変える3つの方法
空き家を単なる負担から「生きた資産」に変えるには、次の3つの方向性を検討しましょう。
① 売却による現金化
家を維持する余裕がない場合は、早めの売却も有効です。
近年では、古家付き土地としての売却や、リフォーム再販業者への買取など多様な選択肢があります。
特に相続発生から3年以内であれば、
「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用できるケースもあり、
税負担を抑えた売却が可能です。
💡 ポイント
不動産業者だけでなく、行政書士・司法書士に相談して「相続登記」や「遺産分割協議」を整えておくと、スムーズに売却できます。
② 賃貸・リノベーションによる活用
立地や状態が良ければ、賃貸住宅や店舗として再活用する選択もあります。
古民家カフェやシェアハウスなど、近年は“再生空き家”の需要も高まっています。
💬 行政書士からのアドバイス
所有者が複数いる場合は、賃貸契約の前に共有者全員の合意を得る必要があります。
契約手続きの代行・書面作成は行政書士がサポートできます。
③ 相続登記と管理契約で“守る”
今すぐ使わない場合でも、最低限の手続きをしておくことが大切です。
- 相続登記(令和8年4月までに義務化)
登記を怠ると過料の対象になる可能性があります。
司法書士に相談することで、アドバイスがもらえます。 - 空き家管理契約
定期的な巡回・通風・草刈りなどを業者に委託することで、
家の価値を守りつつトラブルを防げます。
将来の活用を見据えるなら、「今のうちに法的整理+管理」が最善策です。
4. “親の家”をきっかけに家族で話し合うべきこと
家という財産は、金額以上に「家族の思い出」が詰まった存在です。
そのため、感情が絡みやすく、話し合いが後回しになりがちです。
しかし、次のようなタイミングで一度家族会議を開くことをおすすめします。
- 親の介護が始まったとき
- 相続人の誰かが結婚・転居するタイミング
- 家の老朽化や修繕費が発生したとき
家族全員が集まり、
「誰がどう管理するのか」「将来どう活用したいのか」を話し合うだけで、
トラブルの多くは未然に防げます。
5. 高槻市の事例:実家を“地域資源”に変えたケース
高槻市では、行政や地域団体と連携して「空き家活用プロジェクト」が進んでいます。
実際に、
- 老朽化した家をリフォームして高齢者向け住宅に
- 親の家を地域のサロン・子ども食堂として活用
といった事例もあります。
空き家を“地域の拠点”に変えることで、家族だけでなく地域にも貢献できます。
まとめ:放置ではなく“選択”が資産を生む
親の家をどうするかは、相続の中でも最も悩ましいテーマの一つです。
しかし、放置せず「売る」「貸す」「残す」を明確に選択することで、
その家は家族を守る資産へと変わります。
事務所名:乾行政書士事務所
代表者:乾 公憲
住所:大阪府高槻市上牧北駅前町4番50号
📌 対応エリア:茨木市、高槻市、枚方市、交野市、吹田市、摂津市、箕面市、寝屋川市
📞 お問い合わせ:072-691-5370
📩 メールでのご相談も受付中です
ごあいさつ
私は、障がい福祉サービスに特化した行政書士として、これまで多くの事業者様の立ち上げ・運営支援に携わってまいりました。高齢者や障がいのある方、そのご家族が安心して暮らせる地域づくりを支援することを使命とし、制度理解から各種申請、運営の課題まで、丁寧かつ実務的にサポートしております。
このたび、より幅広いニーズにお応えするため、遺言・相続・死後事務委任契約・成年後見制度の利用支援など、民事法務の取り扱いも開始いたしました。とくに、福祉の現場に近い立場で業務を行ってきた強みを活かし、ご本人の思いやご家族の不安に寄り添った法的支援を心がけております。
障がい福祉と民事業務の両面から、「支援が必要な方々の権利と暮らしを守る」ことを目指し、地域に根ざした専門家として真摯に取り組んでまいります。どうぞお気軽にご相談ください。
コメント