はじめに
近年、社会全体で「多様性」や「個人の尊厳」が重視されるようになり、LGBT(性的少数者)の方々への理解も少しずつ広がっています。
しかし、法律の世界ではまだまだ課題が残っており、特に「相続」や「パートナーの権利」に関しては、十分な保護が受けられないケースが多くあります。
この記事では、行政書士の立場から、LGBTの方やそのパートナーが知っておくべき「相続」の基本と対策について解説します。
現行法における相続の仕組み
日本の民法では、相続人(遺産を受け取る権利がある人)は、法律上の婚姻関係や血縁関係に基づいて決まります。
たとえば以下のような順位です:
- 配偶者(夫・妻)
- 子ども
- 両親
- 兄弟姉妹
つまり、同性パートナーは法律上の「配偶者」ではないため、相続人にはなれません。
長年一緒に暮らし、生活を支え合ってきた関係であっても、遺言書がなければ、パートナーには一切の相続権がないというのが現状です。
LGBTの方に多い相続トラブルの例
- 長年同居していたパートナーが、葬儀の場から排除された
- 遺産がすべて血縁者に渡り、パートナーが住んでいた家を出ざるを得なくなった
- 亡くなった方の銀行口座が凍結され、生活費が使えなくなった
こうしたケースは、法的な備えをしていなかったことが原因で起こることが多いです。
つまり、「気持ちの絆」だけでは守れない現実があるのです。
LGBTの方ができる相続対策
1.遺言書の作成
最も重要なのが、「遺言書」を作成することです。
遺言書を残しておけば、法定相続人以外の人(同性パートナーや友人など)にも遺産を渡すことが可能です。
特に「公正証書遺言」にしておくと、法的効力が強く、トラブルを防ぐことができます。
行政書士は、内容の整理や文案作成、証人立会いのサポートまで行うことができます。
2.任意後見契約の活用
高齢になったり、判断能力が低下した際に、信頼できるパートナーに自分の生活や財産管理を任せる契約です。
同性パートナーでも契約で指定すれば、法的に代理人として支援ができます。
3.死後事務委任契約
葬儀・納骨・役所への届出・遺品整理など、死後の手続きをパートナーに託す契約です。
「亡くなった後の対応を誰が行うか」を明確にすることで、遺族とのトラブルを防げます。
4.パートナーシップ証明制度の併用
一部の自治体(高槻市を含む多くの地域)では、「パートナーシップ宣誓制度」を導入しています。
この制度自体に相続の法的効果はありませんが、公的に関係を証明できる手段として活用できます。
遺言や契約書とあわせて準備しておくと、より安心です。
専門家に相談することでできること
LGBTの方の相続は、法律だけでなく「想いの整理」も大切です。
行政書士は、本人やパートナーの希望を聞き取りながら、最適な文書や制度利用をサポートします。
- 遺言書・後見契約・死後事務契約の作成
- 相続・遺産分割に関するアドバイス
- 公正証書化の手続き支援
- パートナーシップ制度の活用相談
法律の枠を超えて、**「お二人の関係を守るための仕組みづくり」**を一緒に考えます。
まとめ
LGBTの方にとって、相続は「愛する人を守るための現実的な準備」です。
今の日本の法律では、何も手続きをしていないと、大切なパートナーが一切の権利を持てない状況になります。
だからこそ、遺言書や契約書を通じて、自分の意思を“法的に残す”ことが何より大切です。
高槻市の行政書士として、私はお一人おひとりの想いを形にし、安心できる将来設計をサポートいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
事務所名:乾行政書士事務所
代表者:乾 公憲
住所:大阪府高槻市上牧北駅前町4番50号
📌 対応エリア:茨木市、高槻市、枚方市、交野市、吹田市、摂津市、箕面市、寝屋川市
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ごあいさつ
私は、障がい福祉サービスに特化した行政書士として、これまで多くの事業者様の立ち上げ・運営支援に携わってまいりました。高齢者や障がいのある方、そのご家族が安心して暮らせる地域づくりを支援することを使命とし、制度理解から各種申請、運営の課題まで、丁
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