近年、社会全体で多様性を尊重する動きが広がり、LGBTのカップルも少しずつ暮らしやすい環境が整いつつあります。しかし、日本の現行法においては同性婚が認められていないため、異性カップルであれば当然に認められる権利や手続きが、そのまま適用されないのが現状です。
そのため、LGBTカップルが安心して生活を送るためには、法的な備え”をしておくことが非常に大切です。本記事では、行政書士の立場から必要な備えについて解説します。
なぜ“法的な備え”が必要なのか?
異性間の夫婦であれば、結婚によって法律上の「配偶者」となり、様々な権利が自動的に発生します。例えば以下のようなものです。
- 相続権
- 医療に関する同意権
- 生命保険の受取人指定の容易さ
- 税制上の優遇(配偶者控除など)
一方、LGBTカップルは現状「法律上の家族」と認められていないため、これらの権利は当然には保障されません。そこで、契約や書面によって権利関係を明確にしておくことが重要になるのです。
LGBTカップルにおすすめの法的備え
1. パートナーシップ契約書
自治体による「パートナーシップ制度」が広がりつつありますが、これはあくまで自治体内での証明にとどまり、法的効力は限定的です。
そこで有効なのが「パートナーシップ契約書」です。
- 生活費の分担方法
- 財産の管理や取得方法
- 病気や事故の際の意思表示に関する取り決め
などを文書化しておくことで、二人の関係を法的に裏付けられます。
2. 遺言書(自筆証書遺言・公正証書遺言)
もしもパートナーに財産を遺したい場合、遺言書が必須です。遺言がなければ、法律上の相続人(親や兄弟姉妹)が優先され、パートナーは一切の権利を得られません。
特に安心できるのは「公正証書遺言」です。公証役場で作成するため、偽造・紛失のリスクを防ぎ、確実にパートナーへ財産を引き継ぐことができます。
3. 任意後見契約
将来、認知症や病気で判断能力が低下した場合に備えて、「任意後見契約」を結んでおくことも有効です。
これにより、パートナーを後見人として指定でき、財産管理や医療契約などを代わりに行ってもらえるようになります。
4. 医療・介護に関する意思表示書
病院での手術や延命治療の判断などは、原則として家族が行います。しかし、法的に「家族」でない場合、パートナーは同意権を持ちません。
そこで、事前に「医療同意書」や「尊厳死宣言」などを用意しておくことで、パートナーに意思決定権を委ねることが可能になります。
まとめ:安心できる暮らしのために
LGBTカップルにとって「法的な備え」とは、単に書面を整えるだけではなく、お互いの人生を守り合うための大切な準備です。
- パートナーシップ契約
- 遺言書
- 任意後見契約
- 医療・介護に関する意思表示書
これらを整えることで、万が一の時にも安心できる暮らしが実現します。
私たち行政書士は、こうした法的備えのサポートを行っています。関心のある方は、ぜひ一度ご相談ください。
事務所名:乾行政書士事務所
代表者:乾 公憲
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ごあいさつ
私は、障がい福祉サービスに特化した行政書士として、これまで多くの事業者様の立ち上げ・運営支援に携わってまいりました。高齢者や障がいのある方、そのご家族が安心して暮らせる地域づくりを支援することを使命とし、制度理解から各種申請、運営の課題まで、丁寧かつ実務的にサポートしております。
このたび、より幅広いニーズにお応えするため、遺言・相続・死後事務委任契約・成年後見制度の利用支援など、民事法務の取り扱いも開始いたしました。とくに、福祉の現場に近い立場で業務を行ってきた強みを活かし、ご本人の思いやご家族の不安に寄り添った法的支援を心がけております。
障がい福祉と民事業務の両面から、「支援が必要な方々の権利と暮らしを守る」ことを目指し、地域に根ざした専門家として真摯に取り組んでまいります。どうぞお気軽にご相談ください。
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